「電気工事士は稼げる」と聞くけれど、実際のところ年収はいくらなのだろう?
2025年の最新データによると、電気工事士の平均年収は約550万円。 日本の給与所得者の平均年収460万円と比較して高い水準にある、まさに「稼げる」専門職です。
しかし、その金額は資格の種類、年齢、働く地域、そして働き方によって大きく変わります。
この記事では、厚生労働省の最新統計や主要求人サイトのデータを基に、以下の点を徹底的に掘り下げます。
- 第一種・第二種での年収差
- 20代から50代までのリアルな年収推移
- 「一人親方」になった場合の収入モデル
- 年収1000万円を目指すための具体的なキャリア戦略
あなたが電気工事士として、自身の市場価値を正確に把握し、収入アップを実現するための具体的なロードマップを、この記事で手に入れてください。
1. 電気工事士とは?資格区分と仕事内容
電気工事士は、私たちの生活に不可欠な電気設備を安全に使えるよう、工事やメンテナンスを行う国家資格を持つ技術者です。資格は大きく分けて3種類あり、それぞれ扱える業務の範囲が異なります。
- 第一種電気工事士: 主にビルや工場、商業施設などの大規模な設備(最大電力500kW未満)の工事に従事できます。第二種の範囲もカバーする、電気工事のプロフェッショナルです。
- 第二種電気工事士: 一般住宅や小規模な店舗など、比較的電圧が低い(600V以下)設備の工事が可能です。「まちの電気屋さん」の多くがこの資格を持っています。
- 認定電気工事従事者: 第二種電気工事士が、自家用電気工作物(最大電力500kW未満)のうち、電圧600V以下の簡易な電気工事を行えるようになる資格です。
2. 平均年収はいくら?【2025年最新統計データ】
複数の信頼できる情報源から、電気工事士の最新の平均年収を見ていきましょう。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、2025年の電気工事士の平均年収は547.6万円です。 内訳は、平均月収36.8万円、年間賞与(ボーナス)が106.5万円となっています。
一方、求人サイト「求人ボックス」の2025年4月時点の統計では、正社員の平均年収は458万円と算出されています。
【表1】主要な統計データから見る平均年収の比較
調査元 | 調査時期 | 平均年収 | 特徴 |
---|---|---|---|
厚生労働省 賃金構造基本統計調査 | 令和6年 | 547.6万円 | 全国の企業に勤務する労働者が対象の公的統計。 |
求人ボックス給料ナビ | 2025年4月 | 458万円 | サイトに掲載された求人情報から算出された市場価格。 |
※公的統計は全労働者、求人サイトは募集時の年収提示額がベースとなるため差が生じます。キャリアやスキルに応じ、年収550万円前後が一つの目安と言えるでしょう。
3.【属性別】電気工事士のリアルな年収レンジ
平均年収はあくまで全体の平均値。あなたの状況に近いカテゴリーで、より具体的な年収イメージを掴みましょう。
資格別:一種と二種ではどれくらい違う?
当然ながら、対応できる業務範囲が広い第一種電気工事士の方が、第二種よりも年収は高くなる傾向にあります。
明確な統計はありませんが、各種求人サイトの募集要項を見ると、資格手当や給与ベースで月収にして2万円~5万円、年収で30万円~60万円程度の差がつくことが一般的です。
年代別:経験と共に年収は上昇
電気工事士の年収は、経験を積むことで着実に上がっていきます。
【表2】年代別・平均年収の推移(男女計)
年代 | 平均年収 |
---|---|
20~24歳 | 354万円 |
25~29歳 | 416万円 |
30代 | 463万~501万円 |
40代 | 518万~585万円 |
50代以降 | 600万円以上も |
出典:令和6年賃金構造基本統計調査のデータを基に作成
20代前半の354万円からキャリアをスタートし、技術と経験を磨くことで、40代後半には585万円へと、200万円以上の年収アップが見込めます。
地域別:都市部ほど高い傾向
やはり関東や関西などの大都市圏は、工事の需要や物価を反映して年収が高くなる傾向があります。 例えば、求人ボックスのデータによると、東京都の電気工事士の平均年収は523万円と、全国平均より60万円以上高い結果となっています。
一人親方の収入モデル
会社員ではなく「一人親方」として独立した場合、年収は青天井です。仕事の取り方や専門性次第では、年収1000万円超えも夢ではありません。
ただし、収入が不安定になるリスク、経費計算や営業活動をすべて自分で行う必要がある点は覚悟が必要です。一般的には、会社員時代の1.5倍~2倍程度の売上を目標とすることが多いようです。
4. 雇用形態別のリアル【正社員・派遣・請負・独立】
働き方によって、給与体系は大きく異なります。
- 正社員: 月給制で安定。賞与や福利厚生が充実。平均年収は450万~550万円がボリュームゾーン。
- 派遣社員: 時給制がメイン。求人ボックスによると平均時給は1,640円。 繁閑に応じて柔軟に働けるのが魅力。
- 請負(一人親方): 完全出来高制。単価の高い仕事を選べば高収入が狙えるが、仕事がなければ収入はゼロ。
- アルバイト/パート: 時給制。平均時給は1,157円ほど。 補助的な業務が中心となります。
5. 年収を上げる5つの戦略
現状の年収に満足していないなら、行動あるのみです。ここでは、年収アップを実現するための具体的な5つの戦略を紹介します。
- 上位・関連資格を取得する
第二種保有者なら第一種電気工事士の取得が最優先。 加えて、「1級電気工事施工管理技士」や「第三種電気主任技術者(電験三種)」を取得すれば、管理職への道が開け、年収の大幅アップ(100万円以上)も期待できます。 - 施工管理のスキルを身につける
現場作業員から、プロジェクト全体を管理する「施工管理」へキャリアアップする道です。現場のリーダーとして職人をまとめ、安全・品質・工程・予算を管理する役割は、責任も大きい分、高い報酬が得られます。 - 多能工化で価値を高める
電気工事だけでなく、空調設備、通信工事、消防設備工事など、複数のスキルを身につけることで「多能工」としての市場価値が高まります。対応できる工事の幅が広がるため、会社から重宝され、給与交渉も有利に進められます。
電気工事の派生スキルとして、テレビアンテナ工事の需要も高まっています。テレビアンテナ工事の技術が3日で身につく講座で、スキルを獲得も検討してみましょう。 - 「営業力」を磨いて独立・転職に備える
技術力に加えて、顧客と良好な関係を築き、新たな仕事を取ってくる営業力は、独立する際には必須のスキル。会社員であっても、このスキルがあればより条件の良い企業への転職が有利になります。 - DXスキルで業務を効率化する
図面の管理にCADを使ったり、施工管理アプリで情報共有を行ったりと、建設業界でもDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進んでいます。こうしたITツールを使いこなせる人材は、生産性向上に貢献できるため評価が高まります。
6. 高年収求人の探し方と注意点
年収アップの最も手早い方法は、給与水準の高い会社への転職です。
優良な転職サイト・エージェントを活用する
建設・電気工事分野に特化した転職サイトやエージェントには、一般には公開されていない好条件の「非公開求人」が多く集まります。キャリア相談にも乗ってもらえるため、積極的に活用しましょう。
公共工事設計労務単価をチェックする
国が毎年発表する「公共工事設計労務単価」は、公共事業に従事する技術者の賃金基準です。この単価が上昇傾向にあれば、業界全体の給与水準も上がりやすいと判断できます。
【チェックリスト】ブラック企業を回避する
- □ 給与体系(みなし残業代の割合)は明確か?
- □ 年間休日は110日以上あるか?
- □ 資格取得支援制度は整っているか?
- □ 過去の求人情報が頻繁に出ていないか?(離職率の高さを示唆)
- □ 安全管理への意識は高いか?
7. まとめ:電気工事士で年収1000万円を目指すロードマップ
電気工事士は、社会インフラを支える誇りと、努力次第で高年収を実現できる将来性を兼ね備えた魅力的な職業です。
年収1000万円は決して不可能な数字ではありません。
【年収1000万円へのロードマップ】
- 基礎固め(~年収500万円): まずは第二種電気工事士として実務経験を積み、3年後に第一種を取得する。
- スキルアップ(~年収700万円): 施工管理技士や電験三種などの上位資格に挑戦し、現場リーダー・管理職を目指す。または、通信・空調などの多能工化を進める。
- 飛躍(700万円~): 大手企業へ転職し、大規模プロジェクトの管理職を務める。もしくは、十分な実績と人脈を築き、単価の高い専門工事を請け負う「一人親方」として独立する。
この記事が、あなたのキャリアプランを考える一助となれば幸いです。未来は、あなたの行動にかかっています。
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